税の怪談~住宅ローンの借り換え~

いまは低金利なので、もしやと思い、銀行で住宅ローンの借り換えシミュレーションをしてもらったら、安くなった金利の影響で、月返済額が5万円程度少なくなるとのこと。

早速手続きを進めて、借り換え完了。

 

月々の負担も楽になって、1年ほどたったある日、税務署からの連絡が・・・。

 

「昨年の住宅ローンの借り換えについてお尋ねしたいことがありますので、一度税務署に来てもらえませんでしょうか。」

 

なぜ税務署が借り換えのことを知っているのか?

 

それが税務署と一体なんの関係が?

 

よくわからないままに、税務署に行って話を聞いてみると、

 

「所得税と贈与税がかかるかもしれませんが、申告をされていないようですね。これから所得税と贈与税の申告をしてください。税額がある場合は、申告と同時に所得税と贈与税を支払わなければなりません。期限遅れの申告なので罰金もかかります。」

 

この後、説明を永遠とされたが、動揺と緊張で、税務署の人がなにを言っているのかさっぱりわからないまま、生返事をして帰ってきたが、さて・・・。

 

不動産とローンの名義が変わってどうとか、こうとか。

 

そう言えば借り換え手続きの前に一度、税務署か税理士に税金?の確認をしてから来てください・・・みたいなことを銀行から言われていたような。

 

なんかめんどくさいから、大丈夫確認した、って言った気がする。

 

 

~解説~

怖いですね。税務署からの連絡。お尋ね。これは税理士だけではないはずです。

 

なにかあるんですね。必ず。

 

低金利時代なので、住宅ローンの借り換えが流行っているようです。

 

不動産単独所有、ローン負担単独のものを、同様に借り換えならなにも問題はないのです。

 

しかし、不動産共有、ローン各々負担のものを、借り換えを期に不動産単独所有、ローン負担も単独にしたりすると、税務署に用事ができてしいます。

 

以下、実際にあったご相談です。

 

月返済額が楽になるらしいので、住宅ローンの借り換えをしようと考えている。不動産購入時は共働きだったが、ちょうど妻は専業主婦になるので、借り換えを期に、夫婦共有の不動産、負担各々の住宅ローンを、夫単独所有の不動産と夫単独のローンにした場合に税務署はどう考えるのか。

 

結論は、妻に所得税、夫に贈与税がかかるかもしれません。

 

妻の不動産と住宅ローンが夫へ移りました。これを負担付き贈与といいます。

 

妻は自分のローン残高相当額で、夫に自分所有部分の不動産を売り、そのお金で自分のローンを全額返済し、

 

夫は妻のローン残高相当額で、妻主所有部分の不動産を新たな住宅ローンで買ったと考えると、なにも税金なんてかからなさそうです。

 

手もとにお金が残ったりしていませんから。

 

しかし税務署が考える税金の計算をざっくりと説明しますと、

 

妻は、自分のローン残高相当額と自分所有部分の不動産の取得金額との差額に所得税がかかり

 

夫は、妻主所有部分の不動産の現在時価と妻のローン残高金額との差額に贈与税がかかります。

 

妻は、自分の不動産を夫へ売却したので、利益が出れば、親族間の売買なので、3000万円控除の特例も使えずに所得税がかかり、

 

夫は、妻の不動産の取得で得をしたら贈与税がかかるというわけです。

 

ご相談の件では、検討の結果、ご夫婦共に税金はかかりませんでした。利益も得もなかったケースです。

 

あと住宅ローンの借り換えが、なぜ税務署に知られたのかですが、不動産の登記簿からです。登記情報の変化を税務署はつかんでいます。

 

住宅ローンの借り換えに際して、不動産とローンの主人公も換えてしまうと、幽霊のような税金がでてくるかもしれません。

 

 

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生駒市の税理士 西川義弘税理士事務所