老人ホームと実家の相続

家族が老人ホームに入所した場合の税金について考えてみたいと思います。

 

まず、老人ホームに入所の際に一時金を支払う場合があるのですが、これは一般的に数百万円と多額になります。

 

多額なんですが、支払ってあげた場合でも贈与税がかかったりすることはありません。

 

いわゆる扶養義務者相互間の生活費に該当しますので、贈与税は非課税となります。

 

しかし、支払ってあげた一時金が一億円とか超高額の場合は、贈与税がかかります。

一億円は高すぎますから。一般的ではありません。

 

いわゆる「普通の」老人ホームの一時金であれば贈与税は大丈夫、かかりません。

 

次に、所得税との関係です。

 

扶養控除との関係なんですが、老人ホームに入所しますと、同居ではなくなりますので、控除額が少なくなります。

 

生活の本拠が自宅から老人ホームに移動しますから。

 

これが、老人ホームではなく、病気治療のための病院への入院であれば、入院期間が一年以上といった長期でも同居しているもとして取扱います。

 

治療のために入院しているのであって、元気になって帰ってこられることが前提ですから。

 

生活の本拠はあくまでも自宅です。

 

医療費控除との関係なんですが、これは、老人ホーム等の利用料のうち一定のものは対象になります。

 

請求書を見ていただければ、医療費控除対象額が記載されています。

 

当然、支払ったあげた「普通の」老人ホームの利用料は贈与税の対象になりません。念のため。

 

これも扶養義務者相互間の生活費に該当しますから。

 

次に、相続税との関係です。

 

相続が開始、死亡のときまでに被相続人が、要介護認定を受けていれば、所得税の場合とはちがい、老人ホームに入所していたとしても、実家が被相続人の生活の本拠であり、被相続人居住用宅地等、被相続人が住んでいた家として考えますので・・・

 

実家(自宅)の土地部分は小規模宅地等の評価減、すなわち、土地の相続税評価額の8割引きができる可能性があります。

 

要介護認定を受けている場合は、です。

 

そして、相続開始後、空き家になった実家を売却する場合は・・・これまた所得税の話なので、老人ホームが、生活の本拠と考えますので、空き家に係る譲渡所得の特例、3,000万円特別控除は適用できません。

 

老人ホームの入所と税金についてまとめますと・・・

 

入所が、所得税の扶養控除に関係し

入所一時金は贈与税の非課税と関係があり

利用料は所得税の医療費控除と関係があり

相続開始時に要介護認定を受けていれば・・・相続税評価額の8割引きの可能性があり

空き家譲渡の所得税の3,000万円控除は受けれない

 

こんなところでしょうか。

 

 

参考記事

実家の相続の空き家問題

実家の相続と孫への贈与

 

 

 

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